葛藤と耐忍、古い生き方ではあるけれど
| 写真 | 商品名 |
![]() | 新装版 天璋院篤姫(下) |
二つの対照的な世界にも見えて、将軍職の跡目争いの熾烈さやその手段を選ばぬさまは実にむごたらしいのです。しかし、宮尾氏はそれをむしろ淡々とつづっています。
こうしたなか、“表”(徳川幕府)から隔離されている大奥は、まさに裏社会ながら、将軍の妻として、とりわけその後継者をあげることに関与するだけに、御台所や側室達、ご生母らの実家と幕府の関係づくりにも寄与し、相当な政治力を持っています。
薩摩・島津の一分家から、藩主島津斉彬の養女にとりたてられた篤姫は、さらに京都の近衛家の養女というかたちで将軍家に輿入れした篤姫は、栄達をになったようで、家運の傾きに似て病弱な夫とわずか19ヶ月の結婚生活の後、その死去にともなって尼、天璋院に。その後も大奥の一切を取り仕切る相談役として大奥に、徳川に留まります。
生まれの島津藩とその盟友水戸藩の推挙する慶喜を次代将軍に迎えるためのパイプ役として、しかし婚家の徳川家との間で雁字搦めの立場にあって、女性として人間としての葛藤や苦しみを覚えながらも、江戸城明け渡し、そして「瓦解」(徳川側から見た維新のこと)をみてなお、徳川に尽くし続けました。
篤姫は、徳川のため、天下のため、を、信じる幼い熱血漢として入輿します。武家の娘に生まれた以上、結婚相手もまた奉公先の主人であってロマンチックな期待もしてはいないのですが、権力抗争にもまれるなかで、癇癪を起こして扇子を投げつける、あるいはそれを堪える、といった場面が何度もあります。後ろ盾が次々と没し、飼い猫のさと姫を抱き上げ、桜島の見える光景を、生母のお幸の方を懐かしむ天璋院は、降嫁した和宮が、生母も女中も伴って輿入れしたうえ、何かと天皇を通じて圧力をかけてくることに、辛抱を重ねてはいても耐えかねる思いを抱きつつ、一本気ながらどこかいじらしいのです。
新装版の巻末で綱淵謙錠氏との対談にある通り、厳密な時代考証から見れば問題点もないわけではないのですが、資料を読み込み、郷土史家や、島津家、徳川家の関係者からの取材も踏まえた力作です。
フィクションとしても、ぐいぐい引き込まれて一気に読み通しました。2008年の大河ドラマ化で、これを現代女性の生き方とどう重ね合わせるのか、楽しみでもあります。
引用元:葛藤と耐忍、古い生き方ではあるけれど
『鬼龍院花子の生涯』で土佐の極道とその女達を描いた宮尾登美子が、幕末の大奥にあって“負け戦”を戦い抜いた天璋院篤姫を描く。
二つの対照的な世界にも見えて、将軍職の跡目争いの熾烈さやその手段を選ばぬさまは実にむごたらしいのです。しかし、宮尾氏はそれをむしろ淡々とつづっています。
こうしたなか、“表”(徳川幕府)から隔離されている大奥は、まさに裏社会ながら、将軍の妻として、とりわけその後継者をあげることに関与するだけに、御台所や側室達、ご生母らの実家と幕府の関係づくりにも寄与し、相当な政治力を持っています。
薩摩・島津の一分家から、藩主島津斉彬の養女にとりたてられた篤姫は、さらに京都の近衛家の養女というかたちで将軍家に輿入れした篤姫は、栄達をになったようで、家運の傾きに似て病弱な夫とわずか19ヶ月の結婚生活の後、その死去にともなって尼、天璋院に。その後も大奥の一切を取り仕切る相談役として大奥に、徳川に留まります。
生まれの島津藩とその盟友水戸藩の推挙する慶喜を次代将軍に迎えるためのパイプ役として、しかし婚家の徳川家との間で雁字搦めの立場にあって、女性として人間としての葛藤や苦しみを覚えながらも、江戸城明け渡し、そして「瓦解」(徳川側から見た維新のこと)をみてなお、徳川に尽くし続けました。
篤姫は、徳川のため、天下のため、を、信じる幼い熱血漢として入輿します。武家の娘に生まれた以上、結婚相手もまた奉公先の主人であってロマンチックな期待もしてはいないのですが、権力抗争にもまれるなかで、癇癪を起こして扇子を投げつける、あるいはそれを堪える、といった場面が何度もあります。後ろ盾が次々と没し、飼い猫のさと姫を抱き上げ、桜島の見える光景を、生母のお幸の方を懐かしむ天璋院は、降嫁した和宮が、生母も女中も伴って輿入れしたうえ、何かと天皇を通じて圧力をかけてくることに、辛抱を重ねてはいても耐えかねる思いを抱きつつ、一本気ながらどこかいじらしいのです。
新装版の巻末で綱淵謙錠氏との対談にある通り、厳密な時代考証から見れば問題点もないわけではないのですが、資料を読み込み、郷土史家や、島津家、徳川家の関係者からの取材も踏まえた力作です。
フィクションとしても、ぐいぐい引き込まれて一気に読み通しました。2008年の大河ドラマ化で、これを現代女性の生き方とどう重ね合わせるのか、楽しみでもあります。
引用元:
二つの対照的な世界にも見えて、将軍職の跡目争いの熾烈さやその手段を選ばぬさまは実にむごたらしいのです。しかし、宮尾氏はそれをむしろ淡々とつづっています。
こうしたなか、“表”(徳川幕府)から隔離されている大奥は、まさに裏社会ながら、将軍の妻として、とりわけその後継者をあげることに関与するだけに、御台所や側室達、ご生母らの実家と幕府の関係づくりにも寄与し、相当な政治力を持っています。
薩摩・島津の一分家から、藩主島津斉彬の養女にとりたてられた篤姫は、さらに京都の近衛家の養女というかたちで将軍家に輿入れした篤姫は、栄達をになったようで、家運の傾きに似て病弱な夫とわずか19ヶ月の結婚生活の後、その死去にともなって尼、天璋院に。その後も大奥の一切を取り仕切る相談役として大奥に、徳川に留まります。
生まれの島津藩とその盟友水戸藩の推挙する慶喜を次代将軍に迎えるためのパイプ役として、しかし婚家の徳川家との間で雁字搦めの立場にあって、女性として人間としての葛藤や苦しみを覚えながらも、江戸城明け渡し、そして「瓦解」(徳川側から見た維新のこと)をみてなお、徳川に尽くし続けました。
篤姫は、徳川のため、天下のため、を、信じる幼い熱血漢として入輿します。武家の娘に生まれた以上、結婚相手もまた奉公先の主人であってロマンチックな期待もしてはいないのですが、権力抗争にもまれるなかで、癇癪を起こして扇子を投げつける、あるいはそれを堪える、といった場面が何度もあります。後ろ盾が次々と没し、飼い猫のさと姫を抱き上げ、桜島の見える光景を、生母のお幸の方を懐かしむ天璋院は、降嫁した和宮が、生母も女中も伴って輿入れしたうえ、何かと天皇を通じて圧力をかけてくることに、辛抱を重ねてはいても耐えかねる思いを抱きつつ、一本気ながらどこかいじらしいのです。
新装版の巻末で綱淵謙錠氏との対談にある通り、厳密な時代考証から見れば問題点もないわけではないのですが、資料を読み込み、郷土史家や、島津家、徳川家の関係者からの取材も踏まえた力作です。
フィクションとしても、ぐいぐい引き込まれて一気に読み通しました。2008年の大河ドラマ化で、これを現代女性の生き方とどう重ね合わせるのか、楽しみでもあります。
引用元:
