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実際に・・・


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斉藤さん 1 (1) (オフィスユーコミックス)
斉藤さんが、怒っているのと同じようなことで、怒った経験がある人はたくさんいるはずだ。でも、相手が怖かったり、もめるのがうっとうしくて、見てみぬふりをしてしまっているのが現状だろう。斉藤さんが怒っていることは、何も彼女一人の基準で事の良し悪しを判断してのことではない。どう見ても明らかに、くっきりはっきり悪いやん、迷惑やん、と断言できることばかりだ。だれがどうみたって悪いと思えることでも、注意できなくて悔しい思いをし、一方で自分のふがいなさに歯噛みしている大人は山ほどいる。子供たちには、悪いことや人に迷惑をかけることが当たり前ではないまっとうな世の中に暮らしていけるようにしてやりたいと思う。漫画だから、現実よりうまく行き過ぎる点もあるかもしれないけれど、でも、まじめにふつうに暮らしていきたい、と日々願っているものにとっては、斉藤さんの願いは、自分の願いと重なると思う。
引用元:実際に・・・

スイミングコーチまこの出会ったこと

社会のルールを守らない人はただちに斉藤さんに敵と見なされ、条件反射的にやっつけられる「スポーツ」のような勧善懲悪もの。悪いことを見逃す者にも暴力をもって制裁がくだるので、幼稚園隣の高校の校長は朝礼台で蹴倒される。

斉藤さんのレパートリーには、ユーモアや笑いなどいっさいなく、ただひたすら大声をあげ、短絡的に暴力を振るうのみ。その余裕のなさ、心の狭さが今の世相を反映するようで、わたしは、この漫画がとても怖かった。たぶん、作者が自分でもどうしてかわからないまま、社会に怒り、自分の理想と現実のギャップに苛立っているからだろう。

では、なぜ、斉藤さんや作者はそんなに怒っているのか? 子育てのハードルを上げすぎたからだ。4巻で子育てを「一大プロジェクト」と呼ぶように、子どもを社会の悪から守り、丁寧に育てないと、と負担を背負い込み、余裕を無くしているからだ。それで社会の悪がとても怖くなり、おびえているから、過剰に反応するとは考えられないだろうか。

斉藤さんのだんなが海外赴任中という設定が暗示するように、わたしたちの社会は女性を孤立させ、子どもと二人きりにさせ、羅針盤を失ってひたすら社会に同調させるか(=真野さん)、それとも逆襲に出させるか(=斉藤さん)しかできないようだ。そんな問題点をはらんでいるのに、作者が全く気づかず、せっせと勧善懲悪しているところが二重の意味でとても怖い。
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